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素問に出てくる「癇」1/4

◆通評虚實論篇第二十八.

 

 

 ・・・腹暴滿.按之不下.取手太陽經絡者.胃之募也.少陰兪.去脊椎三寸傍五.用員利鍼.

霍亂.刺兪傍五.足陽明.及上傍三.

刺癇驚脉五.鍼手太陰各五.刺經太陽五.刺手少陰經絡傍者一.足陽明一.上踝五寸.刺三鍼.

 

凡治消仆撃.偏枯痿厥.氣滿發逆.肥貴人.則高梁之疾也.

隔塞閉絶.上下不通.則暴憂之病也.暴厥而聾.偏塞閉不通.内氣暴薄也.

不從内.外中風之病.故痩留著也.

蹠跛.寒風濕之病也.

 

黄帝曰.

黄疸.暴痛.癲疾厥狂.久逆之所生也.

五藏不平.六府閉塞之所生也.

頭痛耳鳴.九竅不利.腸胃之所生也.

 

 

【解説と要約】

この章では虚実の概要が述べられ、そのほかにいろいろな脈証と生き死にの関係、四季それぞれの治方について述べられている。

その後、様々な病について論じられており、その中にてんかん(癇)についての記載もある。

 

赤字の部分は次のように訳される。

 

癲癇発作を治す際には次の5脈から取穴する。

 

 

・手太陰肺経上に5

・手太陽小腸経上に5

・足太陽膀胱経上に5

・手少陰心経上に1

・足陽明胃経上の踝上5寸に1

 

ただしこの場合は鍉鍼を用いる。(刺三鍼)

 

その後は食べても痩せる病や、半身不随、急にのぼせて耳が聞こえなくなる病や黄疸などの様々な病の原因が書かれている。

 

※「刺三鍼」の部分を小曽戸先生は「鍉鍼」と意訳している。

これは、九針十二原篇にある鍼の種類の順番によるものではないかと推察する。

しかし、「員利針」などそのままの名称で記載されている箇所もあるため、

「刺三鍼」の訳に関しては慎重にならなければならないと考える。

古典にありがちな誤植という可能性もある。

鍼の深さ三寸かもしれないし、呼吸を三呼吸おくことかもしれない。

このような場合は、臨床にて検証するしかない。

鍼灸の場合は、自分が何をしたかをわかっていればリカバリー可能であることは幸い。

 

 

参考:築地書館『意釈黄帝内経素問』小曽戸丈夫、浜田善利 共著